【2025年最新 最低賃金改定】全国一覧と月給の再計算ガイド|知らないと危険な手当の計算ミスとは
2025年10月02日

この度、2025年度の地域別最低賃金が改定されることとなりました。全国的に大幅な引き上げが行われますので、雇用主の皆様におかれましては、給与の見直しが急務となります。
特に月給制の場合、「気づかぬうちに最低賃金を下回っていた」という事態に陥りやすいため、注意が必要です。本記事では、改定後の最低賃金額一覧と、固定残業代や各種手当を含む場合の正しい賃金計算方法を、具体的な例を挙げて分かりやすく解説します。
2025度 地域別最低賃金(時給)全国一覧
今回の改定により、全国加重平均額は1,121円(66円増)となり、全都道府県で時給1,000円を超えました。最高額は東京都の1,226円、最低額は高知県、宮崎県、沖縄県の1,023円です。
多くの都道府県では2025年10月から順次発効されますが、一部地域では発効日が異なりますので、自社の事業所の所在地の発効年月日を必ずご確認ください。
都道府県 |
新最低賃金(円) |
引上げ額(円) |
発効予定日 |
---|---|---|---|
北海道 |
1,075 |
65 |
2025/10/4 |
青森 |
1,029 |
76 |
2025/11/21 |
岩手 |
1,031 |
79 |
2025/12/1 |
宮城 |
1,038 |
65 |
2025/10/4 |
秋田 |
1,031 |
80 |
2026/3/31 |
山形 |
1,032 |
77 |
2025/12/23 |
福島 |
1,033 |
78 |
2026/1/1 |
茨城 |
1,074 |
69 |
2025/10/12 |
栃木 |
1,068 |
64 |
2025/10/1 |
群馬 |
1,063 |
78 |
2026/3/1 |
埼玉 |
1,141 |
63 |
2025/11/1 |
千葉 |
1,140 |
64 |
2025/10/3 |
東京 |
1,226 |
63 |
2025/10/3 |
神奈川 |
1,225 |
63 |
2025/10/4 |
新潟 |
1,050 |
65 |
2025/10/2 |
富山 |
1,062 |
64 |
2025/10/12 |
石川 |
1,054 |
70 |
2025/10/8 |
福井 |
1,053 |
69 |
2025/10/8 |
山梨 |
1,052 |
64 |
2025/12/1 |
長野 |
1,061 |
63 |
2025/10/3 |
岐阜 |
1,065 |
64 |
2025/10/18 |
静岡 |
1,097 |
63 |
2025/11/1 |
愛知 |
1,140 |
63 |
2025/10/18 |
三重 |
1,087 |
64 |
2025/11/21 |
滋賀 |
1,080 |
63 |
2025/10/5 |
京都 |
1,122 |
64 |
2025/11/21 |
大阪 |
1,177 |
63 |
2025/10/16 |
兵庫 |
1,116 |
64 |
2025/10/4 |
奈良 |
1,051 |
65 |
2025/11/16 |
和歌山 |
1,045 |
65 |
2025/11/1 |
鳥取 |
1,030 |
73 |
2025/10/4 |
島根 |
1,033 |
71 |
2025/11/17 |
岡山 |
1,047 |
65 |
2025/12/1 |
広島 |
1,085 |
65 |
2025/11/1 |
山口 |
1,043 |
64 |
2025/10/16 |
徳島 |
1,046 |
66 |
2026/1/1 |
香川 |
1,036 |
66 |
2025/10/18 |
愛媛 |
1,033 |
77 |
2025/12/1 |
高知 |
1,023 |
71 |
2025/12/1 |
福岡 |
1,057 |
65 |
2025/11/16 |
佐賀 |
1,030 |
74 |
2025/11/21 |
長崎 |
1,031 |
78 |
2025/12/1 |
熊本 |
1,034 |
82 |
2026/1/1 |
大分 |
1,035 |
81 |
2026/1/1 |
宮崎 |
1,023 |
71 |
2025/11/16 |
鹿児島 |
1,026 |
73 |
2025/11/1 |
沖縄 |
1,023 |
71 |
2025/12/1 |
出典:厚生労働省発表資料を基に作成
月給制における最低賃金計算の基本
月給制の場合、単純に月給額を労働時間で割るだけでは正しい判断ができません。以下の式を用いて、月給を時給に換算し、最低賃金額を上回っているかを確認する必要があります。
1ヶ月の平均所定労働時間の求め方
(365日−年間所定休日数)×1日の所定労働時間÷12ヶ月
算出のポイント:最低賃金の対象となる賃金
計算に用いる「月給」には、含める手当と含めない手当があります。ここを間違えると、意図せず最低賃金を下回ってしまう可能性があります。
最低賃金の対象となる賃金 | |
---|---|
含める手当 (毎月固定的に支払われるもののうち以下に該当するもの) |
含めない手当 |
|
|
含める手当(毎月固定的に支払われるもののうち以下に該当するもの)
- 基本給
- 役職手当、職務手当
- 住宅手当、地域手当
- その他、名称に関わらず毎月決まって支払われる手当
含めない手当
- 時間外労働手当、休日労働手当、深夜労働手当
- 固定残業代
- 通勤手当
- 家族手当
- 精皆勤手当
- 賞与など、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 結婚手当など、臨時に支払われる賃金
【ケース別】間違いやすい月給計算の実践例
ここでは、具体的な給与例を基に、最低賃金をクリアしているかどうかの計算方法を見ていきましょう。 (※年間休日120日、1日の所定労働時間8時間、勤務地:東京都(最低賃金1,226円)と仮定します)
1ヶ月の平均所定労働時間の計算
まず、共通で使う平均所定労働時間を算出します。 (365日 – 120日) × 8時間 ÷ 12ヶ月 = 163.33…時間 ここでは、163.33時間とします。
ケース1:各種手当がある場合
給与明細
- 基本給:180,000円
- 職務手当:15,000円
- 住宅手当:10,000円
- 通勤手当:5,000円
- 総支給額:210,000円
計算方法
通勤手当は最低賃金の計算から除外します。
- 計算対象の月給:180,000円 + 15,000円 + 10,000円 = 205,000円
- 時給換算:205,000円 ÷ 163.33時間 ≒ 1,255円
判定
1,255円は、東京都の最低賃金1,226円を上回っているため、問題ありません。
ケース2:固定残業代がある場合
給与明細
- 基本給:200,000円
- 固定残業代(20時間分):35,000円
- 総支給額:235,000円
計算方法
固定残業代は最低賃金の計算から全額除外します。
- 計算対象の月給:200,000円
- 時給換算:200,000円 ÷ 163.33時間 ≒ 1,224円
判定
1,224円は、東京都の最低賃金1,226円を下回っており、法律違反となります。
この場合、基本給を上げるなどの対応が必要です。
ケース3:手当と固定残業代が混在する場合
給与明細
- 基本給:185,000円
- 職務手当:10,000円
- 固定残業代(20時間分):38,000円
- 通勤手当:10,000円
- 総支給額:243,000円
計算方法
固定残業代と通勤手当を除外して計算します。
- 計算対象の月給:185,000円 + 10,000円 = 195,000円
- 時給換算:195,000円 ÷ 163.33時間 ≒ 1,193円
判定
1,193円は、東京都の最低賃金1,226円を下回っており、法律違反です。
月給の最低賃金チェックツール
1年又は1か月の所定勤務日数と1日の労働時間から時給を計算するにはこちらのツールが便利です。
月給の最低賃金チェックツールはこちら
まとめ
最低賃金の改定は、働く人々の生活を支える重要なルールです。意図せず法律違反となってしまうことを避けるためにも、この機会に改めて自社の給与体系をご確認ください。
特に、固定残業代を採用している場合は、それを除いた基本給部分で最低賃金をクリアしているかどうかが重要なチェックポイントです。
求人広告を掲載される際も、改定後の最低賃金を遵守した給与設定が必須となります。ご不明な点がございましたら、お気軽に弊社までご相談ください。
貴社の給与体系が今回の改定に適合しているか、無料でアドバイスいたします。

採用コンサルタント 白井萌
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